看護師が患者さんと信頼関係を築くのに、大切なことの1つは、患者さんと上手にコミュニケーションが取れることです。
コミュニケーションを円滑にするには、患者さんが、話を聞いてもらえたという安心感や満足感を得られる話し方をする必要があります。これは、バックトラックと呼ばれる手法を用いることで行えます。
バックトラックは、相手が話したことをそのまま、繰り返して言う方法です。「不安だ」「心配だ」などの気持ちを打ち明けてくれるなら、「不安に感じるんですね」「心配になるんですね」と、相手の気持ちを繰り返して言ってあげると、患者さんは、気持ちを理解してもらえたという安心感を持つことができ、看護師への信頼感が強まります。
患者さんの声の高さや速さなどに合わせて話すことは、ペーシングと呼ばれるスキルですが、これによっても、患者さんは、看護師に対して、安心感や親しみを覚えます。
もう1つのスキルは、ミラーリングと呼ばれるもので、患者さんと同じ動作をすることです。人は、自分と同じ動きをする人に対して、安心感を覚える傾向があります。ただし、やりすぎてしまうと、逆効果なので、さりげなく行うようにします。
患者さんと信頼関係を築くには、よく観察することも大切です。患者さんの表情や、ちょっとした動きで、いつもと違うと感じ、それが、病気の発見につながったということもあります。観察力のある看護師は、患者さんだけでなく、お見舞いに来た家族にも関心を持ち、患者さんの家族との信頼関係を築くことができます。